歌词
銀河鉄道の夜
宮沢賢治
ジョバンニはああと深く息しました。
「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。
僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼(や)いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙(なみだ)がうかんでいました。
「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」ジョバンニが云いました。
银河铁道之夜
「僕わからない。」カムパネルラがぼんやり云いました。
宫泽贤治
「僕たちしっかりやろうねえ。」
焦班尼又长长地叹了口气
ジョバンニが胸いっぱい新らしい力が湧(わ)くようにふうと息をしながら云いました。
康贝内拉,又剩下我们两个人了。我俩无论到哪里,都要齐心协力啊!
「あ、あすこ石炭袋(ぶくろ)だよ。そらの孔(あな)だよ。」
“我愿意像那只小天蝎一样,只要能为大家寻求到真正的幸福,就是身经千锤百炼,也在所不惜。”
カムパネルラが少しそっちを避(さ)けるようにしながら天の川のひととこを指さしました。
“嗯,我也是这么想的。”康贝内拉的眼里含着晶莹的泪花。
ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。天の川の一とこに大きなまっくらな孔がどほんとあいているのです。
“可真正的幸福究竟是什么呢?”焦班尼不解地问。
その底がどれほど深いかその奥(おく)に何があるかいくら眼をこすってのぞいてもなんにも見えずただ眼がしんしんと痛むのでした。
“我也不知道。”康贝内拉茫然失神地回答。
ジョバンニが云いました。
“我们都会明白的吧。”
「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」
焦班尼说话时,心中仿佛充满了无穷的力量,他深深地吸了一口气。
「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。
“哎,你看那宇宙中的黑洞,像不像一个巨大的煤炭草袋?”
あすこがほんとうの天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」
康贝内拉胆怯地避开焦班尼坚毅的目光,指着银河中的一处说。
カムパネルラは俄(にわ)かに窓の遠くに見えるきれいな野原を指して叫(さけ)びました。
焦班尼朝着他所指的方向望去,眼前的情景让他倒吸了一口凉气。在远处的银河中,赫然出现了一个黑漆漆的大口子。
它究竟有多深?通到何处?可无论怎样擦亮双眼,绞尽脑汁地想,也觉得它依然是那样的深不可测,难以捉摸。眼睛同时感到了刺痛。
ジョバンニもそっちを見ましたけれどもそこはぼんやり白くけむっているばかりどうしてもカムパネルラが云ったように思われませんでした。
焦班尼坚定地说:
何とも云えずさびしい気がしてぼんやりそっちを見ていましたら向うの河岸に二本の電信ばしらが丁度両方から腕(うで)を組んだように赤い腕木をつらねて立っていました。
“再大的黑洞我也不怕。没找到人们所希望的真正幸福,我决不罢休,无论到哪儿,我们俩一定要并肩携手、勇往直前。”
「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」
“嗯,我们一定会的。哎,快看,多么美丽的原野啊!还有很多人呢!
ジョバンニが斯う云いながらふりかえって見ましたらそのいままでカムパネルラの座っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。
大概那就是真正的天堂吧?啊,我的妈妈也在那里!”
ジョバンニはまるで鉄砲丸(てっぽうだま)のように立ちあがりました。
康贝内拉突然指着窗外远方山花烂漫的原野欢叫起来。
そして誰にも聞えないように窓の外へからだを乗り出して力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽喉(のど)いっぱい泣きだしました。
もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。
焦班尼也随之望去,但除了雾茫茫的一片,怎么也看不见康贝内拉说的那种绚丽多彩的景象。
焦班尼感到一阵惆怅,对面河岸上的两根电线杆,托着一根红色的横木立在那里,似乎在与他相互对望着。
ジョバンニは眼をひらきました。もとの丘(おか)の草の中につかれてねむっていたのでした。
“康贝内拉,我跟你一起去,好吗?”
胸は何だかおかしく熱(ほて)り頬(ほほ)にはつめたい涙がながれていました。
焦班尼说着回过了头。可是一切变得那么突然,刚才康贝内拉还好好地坐在座位上,此刻却已不见踪影。只有那套着黑天鹅绒的座椅,依然闪闪发光。
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