歌词
羅生門
罗生门
芥川龍之介
芥川龙之介
「なるほどな、死人(しびと)の髪の毛を抜くと云う事は、乱暴悪い事かも知れぬ。
拔死人头发,是不对的。
じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。
不过这儿这些死人,活着时也都是干这类营生的。
現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸(しすん)ばかりずつに切って干したのを、干魚(ほしうお)だと云うて、太刀帯(たてわき)の陣へ売りに往(い)んだわ。
这位我拔了她头发的女人,活着时就是把蛇肉切成一段段,晒干了当干鱼到兵营去卖的。
疫病(えやみ)にかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。
要不是害瘟病死了,这会还在卖呢。
それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料(さいりよう)に買っていたそうな。
听说禁军们都夸她卖的鱼干味道 鲜美,竟顿顿买来做菜。
わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。
我不觉得这女人做的是缺德事。她也是出于无奈,不然就只有饿死。
されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。
同样,我也不认为我正在做的有什么不 妥。
これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。
也是因为没有别的办法,不这样就只能坐着等死。
じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」
所以,这个 深知事出无奈的女人想必也会原谅我这种做法的。
以上就是老太婆说的大致意思。
老婆は、大体こんな意味の事を云った。
仆人把刀收回刀鞘,左手按着刀柄,冷静地把话听完。
右手又去摸摸脸上的肿疮。
下人は、太刀を鞘(さや)におさめて、その太刀の柄(つか)を左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。
但听 着听着,仆人心中生出了某种勇气。
勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰(にきび)を気にしながら、聞いているのである。
而这正是他刚才在门下所缺少的。
しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。
而且同刚上楼来逮老婆子的是另外的一种勇气。
それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。
仆人巳不 再为饿死或为盗的选择而犹豫不决。
そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。
他不但不再为着饿死还是当强盗的问题烦恼,现在他已把饿死的念头完全逐到意识之外去了。
下人は、饑死をするか盗人になるけん、迷わなかったばかりではない。
“真是这样的? ”
その時のこの男の心もちから云えば、饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。
老太婆话音刚落 仆人便以不无嘲讽的语调问道。
问罢跨前一步,从酒剌上移开右手,出其不意地抓住老太婆 的上衣襟,咬牙切齿地说
「きっと、そうか。」
“那好,我剥掉你的衣服!你可不要恨我 不然我就饿死! ”
仆人三下两下扯掉老太婆的衣衫,一脚把抱住自己腿不放的老 太婆踢倒在死尸上。
老婆の話が完(おわ)ると、下人は嘲(あざけ)るような声で念を押した。
到梯口只有五步远。
そうして、一足前へ出ると、不意に右の手を面皰(にきび)から離して、老婆の襟上(えりがみ)をつかみながら、噛みつくようにこう云った。
仆人把剥下的桧树皮色衣服夹在腋下,转眼跑下陡梯,消失在夜色深处。
过了好一会儿,死一样倒着的老太婆才从死尸中撑起裸体。
「では、己(おれ)が引剥(ひはぎ)をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
发出不知是呓语还是呻吟的声响,借着仍在燃烧的火光爬到楼梯口。
垂下短短的白发朝门下张望
下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。
外面,唯有黑洞洞的夜。
梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。
仆人的去向,自然无人知晓。
下人は、剥ぎとった檜皮色(ひわだいろ)の着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。
しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。
老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。
そうして、そこから、短い白髪(しらが)を倒(さかさま)にして、門の下を覗きこんだ。
外には、ただ、黒洞々(こくとうとう)たる夜があるばかりである。
下人の行方(ゆくえ)は、誰も知らない。
专辑信息
1.吾輩は猫である
2.それから
3.こころ
4.夢十夜
5.駆込み訴え
6.ヴィヨンの妻
7.人間失格
8.斜陽
9.金色夜叉
10.蟹工船
11.雪国
12.桜の森の満開の下
13.羅生門
14.春琴抄
15.たけくらべ
16.金閣寺
17.銀河鉄道の夜
18.よだかの星
19.毒もみのすきな署長さん
20.檸檬
21.山月記
22.山椒太夫