歌词
金閣寺
金阁寺
三島 由紀夫
三岛由纪夫(林少华 译)
不思議はそれからである。
不可思议的事情发生在此后。
何故ならこうした痛ましい経過の果てに、
因此在经历了这些痛苦难耐的过程之后,
漸くそれが私の目の前に美しく見えだしたのである。
乳房终于在我眼前变好变美。
美の不毛の不感の性質がそれに賦与されて、
美得无可救药的冷漠性质已被赋予其中,
乳房は私の目の前にありながら、
尽管乳房仍在我面前,
徐々にそれ自体の原理の裡に閉じこもった。
但它已缓缓潜入其本身的原理之内,
薔薇が薔薇の原理にとじこもるように。
如蔷薇潜入蔷薇原理一样。
私には美は遅く来る。
对于我,美总是姗姗来迟,
人よりも遅く、
比别人晚。
人が美と官能とを同時に見出すところよりも、
较之别人同时发现美与官能之时,
遥かに後から来る。
我对美的认识要迟得多。
みるみる乳房は全体との聯関を取戻し、
现在,眼看着乳房恢复了同整个生命体的关联,
肉を乗り超え、
超越肉体,
不感のしかし不朽の物質になり、
成为冷漠然而不朽的物质,
永遠に繋がるものになった。
终于同永恒相接相连。
私の言おうとしていることを察してもらいたい。
我希望我将要说的情况能得到理解——
又そこに金閣が出現した。
在这里又有金阁出现了,
というよりは、
或者毋宁说
乳房が金閣に変貌したのである。
乳房变成了金阁。
私は初秋の宿直の、
我想起初秋值班的
台風に夜を思い出した、
那个台风之夜。
例え月に照らされていても、
虽说月华四溢,
夜の金閣の内部には、
但夜中金阁的内部,
あの蔀の内側、
如板窗内、
板唐戸の内側、
板门内、
剥げた金箔捺しの天井の下には、
金箔剥落的藻井下,
重い豪奢な闇が澱んでいた。
依然沉淀着浓重而奢侈的黑暗。
それは当然だった。
这也是理所当然的,
何故なら金閣そのものが、
因为金阁本身
丹念に構築され造型され虚無に他ならなかったから。
不外乎精心设计精心构筑的虚无。
そのように、
同样,
目前の乳房も、
眼前的乳房
おもては明るく肉の耀きを放ってこそおれ、
也只是表面闪着血肉明艳的光泽,
内部は同じ闇でつなっていた。
而内部则充满一色漆黑。
その実質は、
其实质
同じ重い豪奢な闇なのであった。
是同样浓重而奢侈的黑暗。
私は決して認識に酔うていたのではない。
我绝非陶醉于这一认识。
認識はむしろ踏み躙られ、
莫如说
侮蔑されていた。
在遭受侮辱和蹂躏。
生や欲望は無論のこと!
生和情欲自不待言!
しかし 深い恍惚感は私を去らず、
然而深重的恍惚感不肯离我而去,
しばらく痺れたように、
我像麻痹了似的,
私はその露わな乳房と対座していた。
面对裸露的乳房久坐不动。
こうして又しても私は、
女子把乳房收回怀里。
乳房を懐へ蔵う女の、
于是我又碰上一次
冷め果てた蔑みの眼差に会った。
女人冷透的轻蔑目光
私は暇を乞うた。
我起身告辞,
玄関まで送って来た女は、
女子送到门口,
私の後ろに音高くその格子戸を閉めた。
随即在我身后哐当一声关上花格拉门。
寺へ帰るまで、
我仍然神思恍惚,
なお私は恍惚の裡にあった。
直到返回寺院。
心は乳房と金閣とが、
乳房与金阁
かわるがわる去来るした。
在脑海里交相来去。
無力な幸福感が私を充ちたしていた。
一种无力的幸福感充溢着我的整个身心。
しかし 風に騒ぐ黒い松林の彼方、
但是,当风中作响的幽黑的松林前方
鹿苑寺の総門が見えて来たとき、
出现鹿苑寺总门时,
私の心は徐々に冷え、
我的心渐渐冷却下来,
無力は立ちまさり、
继而涌起一种虚脱感。
酔い心地は嫌悪に変わり、
恍惚变成厌恶,
何者へと知れぬ憎しみが募った。
变成无可名状的汹涌的怨恨。
「又もや私は人生から隔てられた!」
“我又同人生隔绝开来!”
と独言した。
我自言自语,
「又してもだ。金閣はどうして私を護ろうとする?
“又是一次!金阁为什么总要保护我?
頼みもしないのに、
我又没有求它,
どうして私を人生から隔てようとする?
它何苦把我同人生隔开?
なるほど金閣は、
诚然,
私を堕地獄から救っているのかも知れない。
金阁或许使我免坠地狱,
そうすることによって金閣は私を、
但这样一来,它又要把我
地獄に堕ちた人間よりもっと悪い者、
变成了比坠入地狱之人还要恶劣的人,
誰よりも地獄の消息に通じた男にしてくれたのだ。
比谁都要通晓地狱消息的人。”
ほとんど呪詛に近い調子で、
我用近乎诅咒的调子,
私は金閣にむかって、
有生以来
生まれ始めて次のように荒々しく呼びかけた。
第一次面对金阁狂喊乱叫:
「いつかきっとお前を支配してやる。
“总有一天我会制服你!
二度と私の邪魔をしに来ないように、
让你服服帖帖,
いつかは必ずお前を我が物にしてやるぞ」
不准你再跟我捣乱!”
声はうつろに深夜の鏡湖池に谺した。
声音在深夜中镜湖池面空洞洞地回荡开来。
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