歌词
中学に入った頃、突然父親が倒れ、そのままこの世を去った。
診断では過労による急性心不全ということだった。
葬式の日、多くの参列者が訪れ、口々に父のことを
「頑張り屋だった」
「部下の面倒見のいい優秀な上司だった」
「家族思いだった」
という囁く声が耳に入った。
僕にはどの言葉も嘘で、でたらめにしか思えなかった。
葬式の間中、涙の一粒もこぼれなかった。
悲しいという感情が生まれてこなかった。
むしろどこか解放されたような気分にさえなっていた。
葬式が終わって、「これからは親子三人で力を合わせて生きていこう」と兄が言った。
僕は返事をしなかった。
母は兄にしがみ付いて泣きながら「うん、うん」と相槌を打っていた。
母は病弱だったため、兄は自分がしっかりしなければという決意を固めているようだった。
しかし、そんな光景も僕にはまったく関係ないことのように思えてしかたなかった。
母さんは僕を当てになんかしていない、それが正直な感想だった。
そして、一年も経った頃、
僕は家の廊下で偶然母と兄が今後について話し込んでいるところを聞いてしまった。
兄は大学への進学をあきらめ、就職することに決めたという。
それを聞いて、母が泣いていた。
「お父さんが生きていれば、お前も進学して好きな勉強に打ち込めただろうに」と言ってまた啜り泣いた。
兄が母を慰める。
「大丈夫だよ母さん、心配しないで、勉強なんかいつでもできるから。
今は生活の方がよっぽと大切だよ。」
それを聞いて、母は「ごめんね、ごめんね」と何度も兄に詫びていた。
そして「あの子もあんなんじゃなければ」という母の言葉に僕はたまらなくなって、家を飛び出した。
あの家に僕の居場所はない。
それどころか、存在すらしていない。
もう、涙も出なかった。
それ以来僕は家に帰ることをやめた。
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