歌词
幼い日の記憶
幼时的记忆
子供の頃から、兄は学力優秀でスポーツ万能、性格が温厚で、誰からも好かれ、親にも将来を期待された。
哥哥从小就成绩优秀、运动万能、性格温厚,谁都喜欢他,父母也对他的前途充满期待。
まさに、非の打ち所のない人間のように思われていた。
简直就被视作完美的人了。
それに比べ僕は、典型的な駄目な人間だった。
相比之下,我就是个典型的废柴。
勉強を嫌いで、学校にも碌に行かず、部屋に引きこもることが多い子供だった。
不喜欢学习,不好好上学,总是把自己关在房间里。
それは、大人になった今も変っていないことに気づかされたのが、今回の事件だった。
今回の事件だった。 这一点即使如今成了大人也没变。这次的事件让我意识到了这回事。
幼い頃は仲のいい兄弟だった。
我们小时候是很要好的兄弟。
5つ年上の兄は、とても優しく、そして、本当に僕を可愛がってくれた。
比我大5岁的哥哥一直很温柔,而且真的很疼爱我。
幼稚園から小学校にかけては、いつも兄がそばにいて、遊んでくれた記憶がある。
记得从幼儿园到小学时期,哥哥一直伴在我身边、陪我玩耍。
放課後は、日が暮れるまで、学校のグランドや近くの公園で遊んだ。
放学后,直到黄昏,我们会在学校的操场或附近的公园玩耍。
ブランクを押してくれる兄、
为我推秋千的哥哥;
滑り台の上で躊躇する僕に、下から「さ、おいて!」と、両手を広げて、見守ってくれる兄、
站在滑梯下,对滑梯上犹豫着的我张开双手、说着“来,过来吧!”,守护着我的哥哥;
鉄棒で下が上がりのできない僕に、一生懸命教えてくれる兄。
认真教着不会在铁棒上爬上爬下的我的哥哥……
日曜日には必ずと言っていい出かけだ。
周日可以说必定会出门。
大概は、探検と称する遠出か、近くの沼でザリガニを釣って遊んだ。
多半是称作探险的远行,或者在附近的泥塘里钓大头虾玩儿。
2人で、映画も見に行った。
也会两个人去看电影。
特に、怪獣物が、僕はお気に入りだった。
我尤其喜欢怪兽片。
兄が、他に見たい映画があっても、何を見るかはいつも僕の好きにさせてくれた。
哥哥就算有其他想看的电影,也总是让我看我想看的。
そして、遊び疲れて帰る僕たちを、いつも、笑顔の母が迎えてくれた。
然后,母亲总是带着笑容迎接玩累了回家的我们。
いつだったか、兄と2人で草むらを歩いていると、いきなり、5、6匹な野犬に囲まれてしまったことがある。
记不清是什么时候,我和哥哥正两个人在草丛里走,突然间被5、6头野狗包围了。
僕が小学校に入学したばかりで、兄が六年生のときだったと思う。
大概是我刚进入小学、哥哥在读六年级的时候吧。
犬がすごい唸り声を上げて、まるで、狂犬のようだった。
狗发出凶狠的哼叫,简直就像疯狗一样。
思わず、兄の背中にしがみついて、泣き出しそうになったら、兄が後ろ手に、僕を抱きしめていた。
我不假思索地紧紧抱住哥哥的后背,差点哭出来的时候,哥哥背过手抱住了我。
「兄ちゃん、怖いよ」と叫んだら、兄は「声を出さないて」と、小さく、強い口調で言った。
我喊道“哥哥,好可怕!”,哥哥小声而坚定地说:“别出声。”
兄は左手で、僕の手を強く握り、背中に庇いながらゆっくりと歩き出した。
哥哥用左手用力地握住了我的受,把我护在他身后慢慢地走出去。
兄は右手で、拳を握り、野犬の攻撃に備えた。
哥哥的右手握成拳,防备着野狗的攻击。
その手は、僅かに震えていたように思う。
那只手似乎微微有些颤抖。
兄は野犬と目に合わさないように、前方をきっと睨んだまま、ゆっくりと、時間をかけて前進した。
哥哥尽量不与野狗对上视线,一边死死地盯着前方,一边缓慢地前进。
その僕たちに向かって、野犬が吠えかける。
野狗对着这样的我们吠叫着。
僕は、兄の手をきゅっと握り、背中に貼り付けるようにして、歩調を合わせた。
我紧紧地握住哥哥的手,像是要贴在哥哥背上一样,与他步伐一致。
まるで、石にでもなったからような感覚で、ゆっくり、前に向かって移動していく。
以像是成了一块石头一般的感觉,缓缓地朝前移动下去。
それは、気が遠くなるほど長い時間で、僕は何度も気を失いかけた。
那是一段漫长无比的时间,我好几次差点失去意识。
そのたびに、兄が強く僕の手を握り、僕は、我に帰った。
与此同时,哥哥有力地握着我的手,我恢复了清醒。
「とにかく相手を刺激しない」それが、兄のとっさの判断だったように思う。
“总之不要刺激对方”这就是哥哥瞬间的判断吧。
そしてその作戦が見事に成功し、野犬は、僕たちを追っては来なかった。
那个“作战”非常的成功,野狗没有过来追我们。
それでも、野犬の姿が見えなくなるまで、僕たちはゆっくり移動した。
即便如此,我们还是缓慢地移动,直到视线里看不见野狗为止。
だいぶきたところで、もう大丈夫だと判断した兄が、「ふー」と言って、草むらに倒れ込むように寝初めった。
走出好远以后,判断已经没问题的哥哥,说着“呼……”,开始躺倒在草丛里。
僕も一気に緊張が解け、兄に覆いかぶさって、「兄ちゃん、兄ちゃん」と声を上げて泣きじゃくった。
我也一下子消除了紧张, 压在哥哥身上,“哥哥、哥哥”地哭个不停。
そんな僕を、兄は抱きしめながら、「もう大丈夫だ、本当に怖かったな」と言って、今度は、声に出して笑った。
哥哥抱着我,说着“已经没事了,刚才真的太可怕啦。”接下来又笑出了声。
僕を安心させたがっただろう。
是想让我安心吧。
兄は僕の頭を撫でながら、ずっと笑っていた。
哥哥抚摸着我的头,一直在笑。
この時は、そんな兄が大好きだった。
那时,那样的哥哥,我最喜欢了。
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