歌词
海王社文庫
海王社文库
注文の多い料理店
要求太多的餐馆
宮沢賢治
宫泽贤治
朗読:宮野真守
朗读:宫野真守
二人の若い紳士(しんし)が、
两个年轻的绅士
すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、
俨然是一副英国士兵的装扮
ぴかぴかする鉄砲(てっぽう)をかついで、
肩上扛着锃亮锃亮的步枪
白熊(しろくま)のような犬を二疋(ひき)つれて、
牵着两条像白熊一样的大狗
だいぶ山奥(やまおく)の、木の葉のかさかさしたとこを、
沙沙地踏着深山里的落叶
こんなことを云(い)いながら、あるいておりました。
一边走,一边这样聊着:
「ぜんたい、ここらの山は怪(け)しからんね。
“这一带的山可真是够戗
鳥も獣(けもの)も一疋も居やがらん。
,连一只鸟、一头兽也没有。
なんでも構わないから、早くタンタアーンと、
管它是什么东西呢,真想快点儿砰砰地
やって見たいもんだなあ。」
放它几枪过过瘾。”
「鹿(しか)の黄いろな横っ腹なんぞに、
“如果能在鹿的黄肚皮上
二三発お見舞(みまい)もうしたら、
来它两三枪,
ずいぶん痛快だろうねえ。
那才叫痛快呢!
くるくるまわって、
它肯定会骨碌碌连转几个圈,
それからどたっと倒(たお)れるだろうねえ。」
然后扑通一声栽倒在地。”
それはだいぶの山奥でした。
这里已经是相当深的山里了。
案内してきた専門の鉄砲打ちも、
就连给他们带路的当地的猎手,
ちょっとまごついて、
也迷路了,
どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。
不知跑到哪里去了。
それに、あんまり山が物凄(ものすご)いので、
加上这里山势险峻,
その白熊のような犬が、
大白熊一般的狗
二疋いっしょにめまいを起こして、
两只都一起晕倒在地上
しばらく吠(うな)って、
哼哼了几声,
それから泡(あわ)を吐(は)いて死んでしまいました。
就口吐白沫地死了。
「じつにぼくは、二千四百円の損害だ」と一人の紳士が、
“这下我损失了两千四百元。”
その犬の眼(ま)ぶたを、ちょっとかえしてみて言いました。
一个绅士走过去翻了翻狗的眼皮,这样说到
「ぼくは二千八百円の損害だ。」と、もひとりが、
“我损失了两千八百元呢。”
くやしそうに、あたまをまげて言いました。
另一个绅士惋惜地歪着头说
はじめの紳士は、すこし顔いろを悪くして、
先开口的那个绅士脸一沉,
じっと、もひとりの紳士の、顔つきを見ながら云いました。
盯着另一个绅士的脸说:
「ぼくはもう戻(もど)ろうとおもう。」
“我想回去了。”
「さあ、ぼくもちょうど寒くはなったし腹は空(す)いてきたし戻ろうとおもう。」
“好呀,我也觉得又冷又饿,正想回去呢。”
「そいじゃ、これで切りあげよう。
“那么,我们就回去吧。
なあに戻りに、昨日(きのう)の宿屋で、山鳥を拾円(じゅうえん)も買って帰ればいい。」
路上,可以在昨天的那家旅馆里,花上十元钱买些山鸟带回去。”
「兎(うさぎ)もでていたねえ。
“还有兔子呢。
そうすれば結局おんなじこった。
反正还不都是一回事。
では帰ろうじゃないか」
那么,就往回走吧!”
ところがどうも困ったことは、
可糟糕的是,
どっちへ行けば戻れるのか、
要从哪个方向返回
いっこうに見当がつかなくなっていました。
变得完全没有头绪了。
風がどうと吹(ふ)いてきて、
风一下子刮了起来,
草はざわざわ、
草沙沙作响,
木の葉はかさかさ、
树叶哗哗啦啦,
木はごとんごとんと鳴りました。
树发出了咔咔的响声。
「どうも腹が空いた。
“我可能真是饿了。
さっきから横っ腹が痛くてたまらないんだ。」
小肚子从刚才开始疼得受不了。”
「ぼくもそうだ。もうあんまりあるきたくないな。」
“我也是一样,一步也懒得走了。”
「あるきたくないよ。
“走不动了。
ああ困ったなあ、何かたべたいなあ。」
唉,这可怎么办呀。真想吃点东西。”
「喰(た)べたいもんだなあ」
“饿死啦!”
二人の紳士は、ざわざわ鳴るすすきの中で、
两个绅士踩着沙沙作响的芒草,
こんなことを云いました。
一边走一边这样说着
その時ふとうしろを見ますと、
这个时候突然回头一看
立派な一軒(いっけん)の西洋造りの家がありました。
发现了一栋气派的洋房
そして玄関(げんかん)には
而且大门上挂着
西洋料理店
西洋料理店
山猫軒
山猫轩
という札がでていました。
这样的牌子。
「君、ちょうどいい。
“你看,正好
ここはこれでなかなか開けてるんだ。
这里还挺开化的。
入ろうじゃないか」
要不要进去看看?”
「おや、こんなとこにおかしいね。
“哎,这个地方竟然有这个,好奇怪啊
しかしとにかく何か食事ができるんだろう」
但是总能有什么东西吃吧”
「もちろんできるさ。看板にそう書いてあるじゃないか」
“当然能啦。看板上不是这么写着的吗?”
「はいろうじゃないか。ぼくはもう何か喰べたくて倒れそうなんだ。」
“那就进去吧。我已经快要饿晕了”
二人は玄関に立ちました。
两个人在大门那里站着。
玄関は白い瀬戸(せと)の煉瓦(れんが)で組んで、実に立派なもんです。
大门是用白色的濑户的砖砌成的,特别的华丽。
そして硝子(がらす)の開き戸がたって、
而且,玻璃的拉门上
そこに金文字でこう書いてありました。
写着几个金色的文字
「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮(えんりょ)はありません」
“任何人都请随便进,不要客气。”
二人はそこで、ひどくよろこんで言いました。
于是两个人高兴坏了地说
「こいつはどうだ、
“你看怎么样,”
やっぱり世の中はうまくできてるねえ、
果然是天无绝人之路啊,
きょう一日なんぎしたけれど、こんどはこんないいこともある。
今天我们吃了一天的苦头,但最后还是有这样的好事。
このうちは料理店だけれどもただでご馳走(ちそう)するんだぜ。」
这里虽说是一家餐馆,但是可以白吃一顿。”
「どうもそうらしい。決してご遠慮はありませんというのはその意味だ。」
“看样子没错。‘不必客气’大概就是这个意思。”
二人は戸を押(お)して、なかへ入りました。
两个人推开了门,进到里面。
そこはすぐ廊下(ろうか)になっていました。
一进门是一条走廊,
その硝子戸の裏側には、金文字でこうなっていました。
玻璃门的背后又是金色的字,这样写道:
「ことに肥(ふと)ったお方や若いお方は、大歓迎(だいかんげい)いたします」
特别欢迎胖客人和年轻的客人光临。
二人は大歓迎というので、もう大よろこびです。
两个人一见到“特别欢迎”的字样,更加高兴了。
「君、ぼくらは大歓迎にあたっているのだ。」
“喂,我们是特别受欢迎的人呀。”
「ぼくらは両方兼ねてるから」
“我们可是二者兼顾啊。”
ずんずん廊下を進んで行きますと、
顺着走廊一直往里边走,
こんどは水いろのペンキ塗(ぬ)りの扉(と)がありました。
又出现了一扇涂着淡蓝色油漆的门。
「どうも変な家(うち)だ。
“这房子好奇怪呀!
どうしてこんなにたくさん戸があるのだろう。」
怎么会有这么多扇门?”
「これはロシア式だ。
“这是俄罗斯式建筑。
寒いとこや山の中はみんなこうさ。」
寒冷地区和山里面的房子都是这个样子。”
そして二人はその扉をあけようとしますと、
当他们俩正想推开那扇门时,
上に黄いろな字でこう書いてありました。
发现门上写着几个黄字:
「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
本轩是家要求多的餐馆,这点还请各位多多包涵。
「なかなかはやってるんだ。こんな山の中で。」
看样子还挺时尚的。在这样的深山里真是罕见。”
「それあそうだ。
“这也没有什么奇怪的。
見たまえ、東京の大きな料理屋だって大通りにはすくないだろう」
东京的一些大餐馆,有几家是开在大街上的呀?”
二人は云いながら、その扉をあけました。
两个人边说边推开了那扇门,
するとその裏側に、
只见门背面又写着:
「注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえて下さい。」
要求是多了一点,请各位忍耐一下。
「これはぜんたいどういうんだ。」
“这到底是怎么回事呀?”
ひとりの紳士は顔をしかめました。
一个绅士皱了一下眉头
「うん、これはきっと注文があまり多くて支度(したく)が手間取るけれども
“嗯,一定是点菜的客人太多了,要花些时间,
ごめん下さいと斯(こ)ういうことだ。」
请客人原谅的意思吧!”
「そうだろう。早くどこか室(へや)の中にはいりたいもんだな。」
“说得对。咱们还是快点进到房间里边去吧。”
「そしてテーブルに座(すわ)りたいもんだな。」
“真想快点坐下。”
ところがどうもうるさいことは、また扉が一つありました。
可是烦人的是,眼前又出现了一扇门。
そしてそのわきに鏡がかかって、
门旁边有一面镜子,
その下には長い柄(え)のついたブラシが置いてあったのです。
镜子下边放着一把长柄刷子。
扉には赤い字で、
门上写着
「お客さまがた、ここで髪(かみ)をきちんとして、
“各位顾客:请在此将你的头发梳理整齐,
それからはきものの泥(どろ)を落してください。」
并把鞋上的泥土刷掉。 ”
と書いてありました。
这样的红字
「これはどうも尤(もっと)もだ。
“这倒也合乎情理。
僕もさっき玄関で、山のなかだとおもって見くびったんだよ」
刚才在门口,我还真有点儿小瞧了山里的餐馆。”
「作法の厳しい家だ。
“看样子是家讲究礼节的餐馆。
きっとよほど偉(えら)い人たちが、たびたび来るんだ。」
肯定是经常有大人物光顾。”
そこで二人は、きれいに髪をけずって、靴(くつ)の泥を落しました。
于是,两人把头发梳理整齐,又将鞋子上的泥土刷掉。
そしたら、どうです。
可谁知道,
ブラシを板の上に置くや否(いな)や、
就在他们刚想把刷子放回板上的时候,
そいつがぼうっとかすんで無くなって、
刷子却忽然变成透明的,
風がどうっと室の中に入ってきました。
不见了,随后一阵风刮了进来。
二人はびっくりして、互(たがい)によりそって、
两个人不禁同时打了一个寒战,互相挤到了一起,
扉をがたんと開けて、次の室へ入って行きました。
手忙脚乱地哐当一声打开了房门,走进里间。
早く何か暖いものでもたべて、元気をつけて置かないと、
快吃点热乎乎的东西,恢复一下体力,
もう途方(とほう)もないことになってしまうと、二人とも思ったのでした。
不然后果不堪设想。两个人这样想着。
扉の内側に、また変なことが書いてありました。
门里面又出现了几个莫名其妙的字:
「鉄砲と弾丸(たま)をここへ置いてください。」
请把枪支和弹药放在这里。
見るとすぐ横に黒い台がありました。
一看,就在边上有一个黑色的台子。
「なるほど、鉄砲を持ってものを食うという法はない。」
“说的也是,岂能带着枪吃饭呢。”
「いや、よほど偉いひとが始終来ているんだ。」
“一定是有什么了不起的大人物经常光顾。”
二人は鉄砲をはずし、帯皮を解いて、
两个人卸下了枪,解下了子弹带,
それを台の上に置きました。
放到了台子上面。
また黒い扉がありました。
又出现了一扇黑门。
「どうか帽子(ぼうし)と外套(がいとう)と靴をおとり下さい。」
“请摘下帽子、脱掉外套和鞋子。”
「どうだ、とるか。」
“怎么办,要不要脱?”
「仕方ない、とろう。たしかによっぽどえらいひとなんだ。
“有什么办法,脱吧。一定是个很了不起的大人物
奥に来ているのは」
在里边呢。”
二人は帽子とオーバーコートを釘(くぎ)にかけ、
他们俩把帽子和大衣挂在了钉子上,
靴をぬいでぺたぺたあるいて扉の中にはいりました。
然后脱了鞋,吧嗒吧嗒地走了进去。
扉の裏側には、
门背面写着
「ネクタイピン、カフスボタン、
请把领带别针、袖扣、
眼鏡(めがね)、財布(さいふ)、その他金物類、
眼镜、钱包、以及其他金属物品,
ことに尖(とが)ったものは、
特别是尖硬的东西,
みんなここに置いてください」
统统放在这里。”
と書いてありました。
这样的字。
扉のすぐ横には黒塗りの立派な金庫も、
门边摆着一个涂着黑漆的大保险柜,
ちゃんと口を開けて置いてありました。
柜门敞开着。
鍵(かぎ)まで添(そ)えてあったのです。
而且还备了一把钥匙。
「ははあ、何かの料理に電気をつかうと見えるね。
“哈哈,看来有一道菜是要用电的,
金気(かなけ)のものはあぶない。
所以金属类物品有危险,
ことに尖ったものはあぶないと斯(こ)う云うんだろう。」
特别是尖锐的东西。是这个意思吧?”
「そうだろう。
“是吧。
して見ると勘定(かんじょう)は帰りにここで払(はら)うのだろうか。」
这么说,走的时候,要在这里付钱啦?”
「どうもそうらしい。」
“看来是这样。”
「そうだ。きっと。」
“肯定是这么一回事。”
二人はめがねをはずしたり、
两个人摘下眼镜,
カフスボタンをとったり、
又取下了袖扣,
みんな金庫のなかに入れて、
然后统统放进了保险柜里,
ぱちんと錠(じょう)をかけました。
咔嚓一下上了锁。
すこし行きますとまた扉(と)があって、
没走几步,眼前又出现一扇门,
その前に硝子(がらす)の壺(つぼ)が一つありました。
门前放着一个玻璃缸。
扉には斯(こ)う書いてありました。
门前放着一个玻璃缸。
「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」
“请用罐子里的奶油好好地涂在脸上和手脚上。 ”
みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。
他们一看,玻璃缸似的罐子里果然装的是奶油。
「クリームをぬれというのはどういうんだ。」
“为什么让我们抹奶油?”
「これはね、外がひじょうに寒いだろう。
“那是因为外面太冷,
室(へや)のなかがあんまり暖いとひびがきれるから、
而屋子里太暖和了,
その予防なんだ。
是让我们预防皮肤皲裂嘛。
どうも奥には、よほどえらいひとがきている。
里面一定是来了一位很了不起的大人物。
こんなとこで、案外ぼくらは、
没准儿在这里,
貴族とちかづきになるかも知れないよ。」
咱们还能结识贵族呢。”
二人は壺のクリームを、
两个人用缸里的奶油
顔に塗って手に塗って
涂了脸,又涂在手上,
それから靴下をぬいで足に塗りました。
最后把袜子脱了,涂在了脚上。
それでもまだ残っていましたから、
可奶油还有剩余,
それは二人ともめいめいこっそり顔へ塗るふりをしながら喰べました。
于是他们俩干脆装着往脸上抹的样子,偷偷地把剩余的奶油全舔掉了。
それから大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、
当他们迫不及待地推开那扇门后,又见门背面写着:
「クリームをよく塗りましたか、
“奶油涂好了吗?
耳にもよく塗りましたか、」と書いてあって、
耳朵上也涂了吗?”
ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。
又有一只小玻璃缸摆在那里。
「そうそう、ぼくは耳には塗らなかった。
“对了,我忘了涂耳朵。
あぶなく耳にひびを切らすとこだった。
好险呀,差点让耳朵裂开了。
ここの主人はじつに用意周到(しゅうとう)だね。」
这里的主人可真是想得周到呀。”
「ああ、細かいとこまでよく気がつくよ。
“是啊,真可谓无微不至呀!
ところでぼくは早く何か喰べたいんだが、
不过,我只想快点吃些东西,
どうも斯うどこまでも廊下じゃ仕方ないね。」
这没完没了的走廊,什么时候能走到头啊。”
するとすぐその前に次の戸がありました。
正说着,眼前又出现了一扇门。
「料理はもうすぐできます。
“饭菜马上就好。
十五分とお待たせはいたしません。
用不了十五分钟。
すぐたべられます。
马上就能吃了。
早くあなたの頭に瓶(びん)の中の香水をよく振(ふ)りかけてください。」
请赶快将瓶中的香水洒在您的头上。 ”
そして戸の前には金ピカの香水の瓶が置いてありました。
门前摆着一个金光闪闪的香水瓶。
二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。
两个人将瓶中的香水哗哗地洒在了头上。
ところがその香水は、どうも酢(す)のような匂(におい)がするのでした。
谁知那香水有一股醋味儿。
「この香水はへんに酢くさい。どうしたんだろう。」
“这香水怎么有一股醋味儿?怎么回事?”
「まちがえたんだ。下女が風邪(かぜ)でも引いてまちがえて入れたんだ。」
“大概是弄错了。肯定是女佣感冒了,错把醋装了进去。”
二人は扉をあけて中にはいりました。
两个人推门而入。
扉の裏側には、大きな字で斯う書いてありました。
门背面写着这样两行大字:
「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。
各种要求太多,让您心烦了吧。
お気の毒でした。もうこれだけです。どうかからだ中に、
您受委屈了。 这是最后一条了,请您把您的全身
壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください。」
用壶里的盐全部好好地揉搓一遍
なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが、
果然,面前摆着一个雅致的蓝色陶瓷罐,
こんどというこんどは二人ともぎょっとして
事到如今,两个人才惊愕地
お互にクリームをたくさん塗った顔を見合せました。
看清了对方那涂满奶油的脸。
「どうもおかしいぜ。」
“不对劲儿呀!”
「ぼくもおかしいとおもう。」
“我也觉得有点不对头。”
「沢山(たくさん)の注文というのは、向うがこっちへ注文してるんだよ。」
“所谓的要求多,原来是向咱们提出要求啊!”
「だからさ、西洋料理店というのは、
“所以,这家所谓的西餐馆,
ぼくの考えるところでは、
按照我的考虑
西洋料理を、来た人にたべさせるのではなくて、
不是让来的人吃西餐,
来た人を西洋料理にして、食べてやる家(うち)とこういうことなんだ。
而是把来的人做成西餐吃掉。
これは、その、つ、つ、つ、つまり、ぼ、ぼ、ぼくらが……。」
那也就、就、就、就是说,我、我、我们⋯⋯”
がたがたがたがた、
这位绅士一直在颤抖
ふるえだしてもうものが言えませんでした。
说不出话来了。
「その、ぼ、ぼくらが、……うわあ。」
“那,咱、咱们⋯⋯哇!”
がたがたがたがたふるえだして、
另一个绅士也颤抖着
もうものが言えませんでした。
说不出话来。
「遁(に)げ……。」
“快跑吧……”
がたがたしながら一人の紳士はうしろの戸を押(お)そうとしましたが、
一个绅士哆嗦着想去推开身后的门,
どうです、戸はもう一分(いちぶ)も動きませんでした。
谁知门却纹丝不动。
奥の方にはまだ一枚扉があって、
里面还有一道门,
大きなかぎ穴が二つつき、
门上有两个大大的钥匙孔,
銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、
被刻成了银色的刀叉的形状。
「いや、わざわざご苦労です。
“呀,真是辛苦了。
大へん結構にできました。
非常好的完成了任务。
さあさあおなかにおはいりください。」
来来,请进到我的肚子里来吧”
と書いてありました。
这样写着。
おまけにかぎ穴からは
钥匙孔里,
きょろきょろ二つの青い眼玉(めだま)が
有两只滴溜乱转的蓝眼珠
こっちをのぞいています。
正窥视着这边。
「うわあ。」がたがたがたがた。
“哇—” 绅士不停地发抖着。
「うわあ。」がたがたがたがた。
“哇—” 另一个绅士也不停地发抖着。
ふたりは泣き出しました。
两个人突然哭了起来。
すると戸の中では、
这时,从门里面
こそこそこんなことを云っています。
传出了窃窃私语声:
「だめだよ。もう気がついたよ。
“糟了,他们已经发觉了,
塩をもみこまないようだよ。」
根本就没把盐揉在身上。”
「あたりまえさ。親分の書きようがまずいんだ。
“那还用说?都怪头儿的说明写得不高明。
あすこへ、いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう、
什么‘各种要求太多,让您心烦了’、
お気の毒でしたなんて、間抜(まぬ)けたことを書いたもんだ。」
什么‘让您受委屈了’,净写些傻话。”
「どっちでもいいよ。どうせぼくらには、骨も分けて呉(く)れやしないんだ。」
“管他呢。反正咱们连根骨头也捞不着。”
「それはそうだ。
“说得对。
けれどももしここへあいつらがはいって来なかったら、それはぼくらの責任だぜ。」
不过话说回来了,那两个家伙如果不进到这里来,可就是咱们的责任了。”
「呼ぼうか、呼ぼう。おい、お客さん方、早くいらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい。
“叫叫他们吧,叫吧。喂,客人们,快请进,请进,请进。
お皿(さら)も洗ってありますし、菜っ葉ももうよく塩でもんで置きました。
碟子都洗好了,菜叶也已用盐揉过了,
あとはあなたがたと、菜っ葉をうまくとりあわせて、
就等你们进来和青菜一拌,
まっ白なお皿にのせるだけです。はやくいらっしゃい。」
再盛到雪白的碟子里了。快请进呀!”
「へい、いらっしゃい、いらっしゃい。
“嘿!请进,请进。
それともサラドはお嫌(きら)いですか。
你们是不是不喜欢色拉呀?
そんならこれから火を起してフライにしてあげましょうか。
要么就点火来油炸吧。
とにかくはやくいらっしゃい。」
总之,先进来吧。”
二人はあんまり心を痛めたために、
两个绅士吓得魂不附体,脸
顔がまるでくしゃくしゃの紙屑(かみくず)のようになり、
简直像是被揉皱了的废纸,
お互にその顔を見合せ、ぶるぶるふるえ、声もなく泣きました。
两个人你看着我,我看着你,浑身发抖,都哭不出声音来了。
中ではふっふっとわらってまた叫(さけ)んでいます。
里屋传出来扑哧扑哧的笑声,接着,又传出了叫喊声:
「いらっしゃい、いらっしゃい。
“请进,请进。
そんなに泣いては折角(せっかく)のクリームが流れるじゃありませんか。
哭得那么伤心,好容易涂上去的奶油不是都被眼泪冲掉了吗?
へい、ただいま。じきもってまいります。さあ、早くいらっしゃい。」
—唉,来了,马上就给您端去。—喂,你们快进来呀。”
「早くいらっしゃい。親方がもうナフキンをかけて、ナイフをもって、舌なめずりして、お客さま方を待っていられます。」
“快请进!我们头儿已经围好餐巾,手拿刀子,舔着嘴,正等着你们呢!”
二人は泣いて泣いて泣いて泣いて泣きました。
两个绅士哭得死去活来。
专辑信息
1.注文の多い料理店