花散らしの雨

桜が映し出す　淡い雫　ぬるい夜風

目覚めて気づいたら　涙が零れた

あの時の私は　何も言えないまま

立ち去る後姿を　見つめるだけ

花散らしの雨が降る

はらり　ひらり　落ちては滲んで

濡れたのは　花びらか　思い出か

香りが連れてくる　笑う声と　うつむく顔

優しい瞳が　いまは悲しいの

閉ざされた心は　何も響かなくて

弥生の風は　卯月の空へ消える

花散らしの雨が降る

二度と　来ない　あなたとの春を

冷たい涙の　水面で踊るわ

耳元で囁く　愛に似た台詞に

朧月が笑えば　夜の始まり

花散らしの雨が降る

はらり　ひらり　落ちては滲んで

濡れるほど強く　花は　色づく